太陽と星
休日のこの時間の電車は

かなり空いていて


同じ学校の理香と拓は

お互い無視する事もできず


「あっ…」    

「おう…!」


へんな挨拶をして 

拓は私たちの前のシートに座った


「どこ行ってたん?」 理香が話しかけた


「カラオケ!」 答える拓


「えっ…一人で?」


「アホか!さっきツレと別れたとこ」


「八ッハーン…彼女送った帰りかぁ~」


「そんなんちゃうしょ!」



なぜか今日の拓は 

今まで見た姿とは違っていた


どこかぎこちなくて少しテレた様子


(いつもは自信タップリに

爽やかオーラを振りまいているのに

今日はなんか違う…)  


真琴は思った


(この人、ちょっとカワイイやん♪)



そう思うとあまり気を遣わず

話す事ができた



理香が突然切り出した


「こんど海でも行けへん? 

みんな誘って!!!」


理香は真琴を通じて祥子とも

友達になっていた


祥子の気持ちを知っている理香は

一肌脱ぐつもりで拓を誘った



「そんな急に誘っても…」

私が言い終わらないうちに

拓が答えた


「ええよ!みんなで行こや♪」


……意外だった


少なくとも嫌われてはいない



(祥子のやつ、喜ぶやろな~!)



そんな事を考えてニタついていると 

拓が言った


「それで今日は水着買いに行ったん?」


「え~!?何でわかったん?」

私はビックリして聞いた


「その紙袋! そこの店って

今高校生に人気のショップやろ?」


と白い歯を見せて笑った

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