太陽と星
私のかすかな願いなんか

到底叶うわけもなく

当たり前に電車はK駅に到着した



(居てるんかな…?) 


初め人ごみで見えなかったが

最後にどっと乗り込んだ人たちの中に…


(おった~!どうしよ…)



祥子も彼らに気付き私に目配せをして

口パクで訴えている

“早くお礼言わんなあかんやん” 

と言う眼で


でも…この微妙な距離…

かなり難しい 


あれこれ考えていると

あっと言う間に2つ駅を通過して

彼らの下車するS駅がせまってきた


『ガタンッ!!』


大きく電車が揺れ、私はフラついて

2、3歩下がった



・・・その瞬間、私の頭上から

ハスキーな聞き覚えのある声がした


「そんなんやったらまた

変態に狙われんで~!」



顔を上げると真っ黒に日焼けした

口元から真っ白い歯を覗かせて

悪戯っぽく笑う顔


厳つくクールなオーラを出しているが

人懐っこい笑顔は可愛かった



(彼や…一番初めに痴漢に気付き

改札を出る瞬間後ろ向きに

手を振っていた子…)




ボーっとそんな事を考えていると

あっという間に彼らが降りる

S駅に到着した


ドアが開き

彼らの一人が降りる瞬間


小さい声で一言…

「この前はありがとー」


一応、お礼だけは言えた



彼はまた手をヒラヒラと振りながら

「またな~~!!」  

そう言って降りて行った


(またってどういう意味やろ~?)


まあ深く考えることもないわ! 

お礼は言うたんやし…


自分を納得させていると


「あれっ? 何で~~~??」

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