夏の風が頬をなでるから
ただ、彼の笑顔が、存在が、まぶしすぎた。
「わたしも
ほんとにありがとう、って言いたかった
ありがとう、プレゼントもその気持ちも」
わたしたちは、そう言葉を交わすと、別れた。
わたしは、彼の、相変わらず真っ白なワイシャツの背中を、ずっとずっと眺めた。
彼は、一度も振り向かなかった。
正直、訳が分からなかった。
どうして、これを渡すことで、三年前の事を思い出とするのか。
わたしは、曲がり角で彼が見えなくなると、熱いアスファルトを踏みしめて歩き始めた。
彼は、いつわたしの誕生日を知ったのだろう。
わたしは、プレゼントを強く握っていた。