夏の風が頬をなでるから



何をするわけではなかった。

でも、予定が合う日は毎日一緒に帰って、近くの河原に座って、日が暮れるまでたくさん話した。


それだけですごく幸せだと感じた。



だから、浮気の話を聞いたときは、耳を疑った。

女の子と二人で遊んでいたのだ。



最悪な誕生日だった。

きっと、彼はわたしの誕生日なんか覚えていなかったんだろう。




「じゃあさ、もう好きじゃないの?」


「え、うん。いい友達だよ」


多分、最初から友達が良かったんだ。



その証拠に。


「おはよう」

「あ、大山くん、今日は早いんだね」


ちゃんと会話ができるようになった。


名字で呼びあう切なさは、いつの間にか消えた。


あれは、幻だったのではないか
とまで考えた。




< 3 / 17 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop