夏の風が頬をなでるから
なんで、
あんなふうになにも言わずに渡すのよ
なんか一言くれればいいのに
それに、自分のことはいいの?濡れちゃうじゃない
なら途中まで一緒に行けば‥‥‥
「それは‥無理か。」
わたしは、彼の傘を開きながら、ブツブツとつぶやいた。
傘を差して、歩きだす。
歩きだしてほんの少しで、雨音が止まる。
雨が止んだようだった。
日差しが差し、青い空が再び顔を出した。
わたしは、彼の傘をさしたまま歩いた。