夏の風が頬をなでるから
わたしは目を丸くした。
「古谷さん!!」
彼がわたしの名を呼びながら走ってくるから。
彼は息を切らし、首からは汗がしたたる。
「ど、どうしたの!?」
「‥っ、そんなすぐ帰ってんじゃねえよ‥」
彼はそうつぶやくと、自分のリュックのなかをあさりはじめた。
そして
「誕生日、おめでとう」
彼は、ピンクに可愛く包装された箱を手渡した。
わたしは目の前で起きている事が理解できずにいた。
「え‥知ってたの」
「うん、もちろん」
わたしはそのプレゼントをゆっくりと受け取る。
なぜか少し震えていた。
「聞いてほしい話がある」
彼は、深く深呼吸した。