危ない家庭教師〜美男兄弟の誘惑〜
「お、やべえ。行かなくちゃ。本当に遅れちまいそうだ。じゃあな?」


チュッ

涼は音をさせて私にキスすると、ベッドからスッと立ち上がった。


私もベッドを出ようと体を起こしかけたら、


「いいよ、綾子はそのままで」

と言われた。


「ううん、玄関まで見送らせて?」


「いや、いい。……目の毒だから」


「え? あ、きゃっ」


「あはは。じゃあ、行ってくる」


「行ってらっしゃい……」


私は慌てて胸を蒲団で隠しながら、ベッドの上で涼を見送った。


玄関に向かって1〜2歩行きかけた涼は、

「あ、そうだ……」


と言って足を止めると、私を振り向いてこう言った。


「重い物持ったり、転んだりしないようにな?」と。


私は思わずハッと息を呑んだ。


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