Glacial HEART [短編]
無事に種目も決まって、下校時間。
「綺夜〜!今日一緒に帰ろ〜?」
にこにこ笑って、湊都が走ってくる。
「うん。帰ろ」
最近湊都は、途中まで一緒に帰ってくれる。
家の方向は違うんだけど、私が家に帰ってから一人だって知ってから、用がない日は一緒に帰ってくれる。
「ねぇ綺夜はさ〜、応援団やらないの?」
自転車を押しながら聞いてくる
「うん」
「なんでー?楽しいよ?なんか、青春っぽいんだよ?一緒にやろうよーっ!」
「私はいいよ。見てる方が楽しそうだし。」
そう言うのに湊都はなかなか退かなくて
「一緒にやった方が楽しいって!俺も綺夜とやりたいし!…それに、夜練とかもあるんだよ?」
夜練…。
―あぁ、だからか。
「誘ってくれてありがとう。でも、私、別に大丈夫だよ?
それより、かっこいい応援してね!湊都!」
私が笑って答えると、湊都はやっと、「任せて!」って言った。
多分湊都は、私が夜、一人じゃ寂しいと思って誘ってくれたんだよね?
ほんとに、優しいんだから。