Glacial HEART [短編]
「…それで…こっちに来たの?北海道に残らなかったの?」
「うん…。だって、居られないよ。おじいちゃん家に居たらいつまでも引きずっちゃう気がするし。
…まぁ、そんなわけでそれから私は、どこに行っても『友達』も『彼氏』も作らないって決めたの!」
「…え?」
そう。決めたんだよね。
「だって、もうたくさんなんだもん。
自分の好きな人達が裏切って、裏切られて目の前から消えて、いなくなっていく…
だから、誰もすきにならないの!
そうすれば、誰も傷つかないし…傷つけることもないでしょ?
…そう思ってたのに、湊都は…」
「だからあの時…」
「ごめんね、変なこと聞いちゃって。でも、ほんとに苦しいの…
今は結局友達になったけどまたいつ消えるかわからない…」
それが、怖くて。
「消えないよ!俺はずっと綺夜の友達だもん!」
湊都なら、そう言ってくれると思ってた。
何の迷いもなく断言した湊都の言葉を、なんだか信じられる気がして。