Glacial HEART [短編]
「…―ちゃん、綺夜ちゃん…?」
ふと見ると、目の前には久米さんが座っていた。
湊都との話は、いつのまにか終わってたらしい。
「あ、ごめんね。ぼーっとしちゃって。何?」
「あのさ〜、いきなりなんだけど、綺夜ちゃん湊都の好きな人知ってる?」
今一番触れたくない話題なんだけど。
横を見ると湊都はいない。
「…知らない」
「そお〜?綺夜ちゃん湊都と仲良いから知ってるかと思った〜」
「んー…ごめんね?」
「ううん!いきなり変な質問してごめん!
てかうち思うんだけど、湊都の好きな人って綺夜ちゃんじゃない?」
「……え?」
何言ってんの、久米さん。そんなはずない。
湊都が好きなのは
多分あなた…
「なんか〜、なんとなくそんな気がするっ♪」
「ありえないよ。私と湊都は『友達』だもん」
何考えてるんだろ?
「そうなのー?え、じゃあバレンタインはチョコ渡さないのー?」
「わかんない。でもあげるとしても義理チョコだから」
「そっかあ」