Glacial HEART [短編]
「…上手くいくといいね!」
頑張って作った笑顔。
湊都に何か言われるのが怖くて。
「だから…。帰るね。待たせたのにごめん…」
そう言って、手を振りほどこうとするのに、離してくれない。
「湊都、手…」
湊都は俯いてて顔が見えない。
「綺夜…誰?」
「え?」
「綺夜がフラれたのって、誰に?」
顔を上げた湊都と、しっかり目が合う。
それだけで、泣きそうなのに。
フラれた張本人を目の前に、
私は、横に首を振ることしか出来ない。
「教えてよ、綺夜…。」
そう言って、さらに強く手を掴まれる。
…絶対に言えない。
だって答えを知ってるのに。
湊都が、そんなこと言わないでよ。
フッたあなたが、そんなこと言わないでよ。