Glacial HEART [短編]
「今も…。」
「え?」
「今も、また、フラれちゃった。」
それは、精一杯に考えた言葉。
「え、それって…」
「―っじゃあね。」
湊都が何も言わないうちに、屋上を出ようとした。
これ以上ここに居たって、何の意味もない。
「ちょっと待った…!」
また、腕を掴まれた。
「…なに?」
湊都のほうを見ないで言う。
「今の…。どういう意味?」
「だから…そのまま。」
止まらない涙。
どんどん痛くなる心臓。
「それって…。俺のこと、好きなの?」
後ろから聞こえる声。
心臓がドクッと脈を打つ。
「綺夜…!」
そう言って振り向かされた体。
その瞬間、湊都と目が合って。
一瞬で顔が赤くなるのが分かる。
「…違うっ。」
首を振ったけど、こんなの好きって言ってるようなものじゃん。
掴まれてる腕を離そうと手を振ったら、落ちた鞄。
そこから飛び出た、手作りチョコ。