Glacial HEART [短編]
甘
――――――――――…
『おはよ〜』
『おは!ね、昨日の…』
皆の声が、すごく遠くで聞こえる。
あーぁ。風邪…ひいたな。
家出るまでは気付かないふりしてたけど、学校まで歩いてたら異常に息上がってるし。
何より頭がぼーっとして、ずきんずきんする。
何やってんだろー…。
子供に傘あげといて、自分が風邪ひいてたら、世話ないよね。
でも、あの子たちは大丈夫だったかな?
そう考えると少し救われた気がした。
…今日一日、とりあえず頑張って、帰って寝れば治るよね?
きっと誰も気付かないだろうし。
湊都は…近づけないようにしなきゃ。
移しちゃったら嫌だし。
なんとか玄関までたどり着いたから、少し休憩した。
体に力が入らなくて、少しの動作がすごくつらかった。