Glacial HEART [短編]
「…え!?あっ泣いてる!?ごめん、そんなつもりじゃ…」
と、自転車を全速力で漕ぎながらあたふたする湊都。
でも、涙を止めることが出来ない。
「―っごめ…シャツ…濡れちゃうかもっ…」
やっと出たのはそんな言葉で。
「そんなの、気にすんなよ!」
って笑われた。
「とーちゃくっ!!」
自転車のおかげであっと言う間についたマンション。
私はというと、まだ涙が止まらない。
「…っごめんね…」
泣きじゃくりながら、それしか言えなかった。
頭の上にぽんと手をのせられて
「もういいから。ね?ほら、これ。」
そう言って、優しく渡されたのは、薬や食べ物やらが入った袋だった。
これを買いに行ってくれたから、すぐに追いかけて来なかったの…?
「…湊都っ…。」
それを見て、ますます涙が止まらない私。