Glacial HEART [短編]


湊都に支えられて、玄関までたどり着いた。



涙はやっと止まって、相変わらずくらくらするけどさっきよりは冷静になれた。



湊都はさっき私を抱きしめてから、一言も話してない。



やっぱり迷惑だよね?
困ったな って言ってたし…。



移しちゃったら嫌だし、やっぱり帰ってもらおう。



「湊都、もう私の家だから。ここまで来れば大丈夫!だから、帰っていいよ?」



そう言って支えてくれてた湊都の腕をすり抜ける。

湊都の方は…見ない。
また決心が鈍りそうだから。



「今日はごめんね…。じゃあまた」



私が引き留めたくせに、5分後には「帰って」なんて、自分でも呆れるほどわがまま。



ふらふらと、鍵を開けようとしたんだけど、鍵穴にうまく入らない。



がち、がち、とやっていると私の手の上に大きな手が重なって。

かちっと鍵が開いた。



「おじゃましまーす!」



と、私より先にドアを開けて中に入る湊都。



「え、湊都…?もう…」



帰っていいのに…


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