画面の向こうに甘いKiss☆
びっくりしすぎて、何も言えなかった。
ライブ会場は薄暗くて、顔はあまり認識出来ない状態にも関わらず、ハッチがすごくかっこいいことはすぐに分かった。
「――え、幻滅した?」
「…そ、そんなことないよ!」
「良かったーっ」
…私の方こそ、どうしよう。
全くハッチと釣り合ってない。
ぽっちゃりで一重で、身長も小さくて…。
多分幻滅、されたんだろうな………。
頑張ったメイクも髪も服装も、全部無駄に思えてしまった。
「どうした?もうすぐ始まるのに…」
「あ、う、ううん…」
「…?ならいいけど。どうせなら楽しもうな」
「…うん」
ライブは楽しめなかった。
スポットライトの漏れた光に映る隣のハッチは物凄くかっこよくて。
なんだか泣きたくなった。
かっこいい男の子というと、弘也くんを思い出してしまい、無条件に私は胸が痛くなってしまうことに今更気付いてしまった。