画面の向こうに甘いKiss☆
「み…美佳?私、大丈夫だから。ね?落ち着いてっ」
「落ち着いてるわよ!それより…由芽はそれでいいの?青春。大学生なんだし、もっと積極的に恋しようよ!」
こういう話をしている時の美佳は活き活きとしているなぁ。
まるで水を得た魚のよう。
でも……私は…。
「――恋愛は…もういいや」
怖い。裏切られるのなんて、もうたくさん。
恋愛は当分いい……いいんだ。
私は煽るように紅茶をグイっと飲んだ。
「…ハッチ君は恋愛じゃ、ないんだ?」
「うん。ハッチは…友情。話したいの、ただ…ハッチの声が聞きたいだけなんだよ」
「ああ、そういえば声優志望さんなんだっけ?」
「そうそう。すっごくカッコイイ声なんだよ~特徴もあるけど、大人と少年の間のような声なの!」
「ふうん~そうなんだあ」
ずっとハッチからの電話を持ってる。
鳴らない携帯電話。
ハッチのいないチャットルーム。
心がポッカリ穴があいた気分になる…。