画面の向こうに甘いKiss☆
「――弘也くん?」
「…………」
寝ちゃった。
弘也くんは、行為が終わるとすぐに寝てしまう。
そりゃあ、疲れるのかもしれないけど、すぐに寝るなんてちょっと寂しいよ。
ねぇ、愛してるとか、好きだよ、とか…行為が終わった後でも言って欲しい。
いつも、“する前”にしか言ってくれないの、私結構前から気付いてるんだよ?
「…弘也くんのバカ……寂しい…」
起きている弘也くんには言えない言葉を呟いた。
弘也くんは忙しいらしい。
だから、いつもデートは弘也くんからしか誘ってはいけないことになっている。
同じ大学だけど、弘也くんは医学部、私は経済学部。
忙しさはケタ違いなのは、一目瞭然なんだけど、医学部の学生ってそんなに大変なの?
いつも夜しか空いてないもの?
医学部の知り合いは弘也くんしかいないから、それすら分からない。
だけど、弘也くんがそう言うんだもの。きっと、そうなんだよね。
いつも疑ったり、悩んだりしてたけど、私は弘也くんが好きだった。
愛してた。
だから、我慢したし、追求もしなかった。
なのに………。