画面の向こうに甘いKiss☆
やけに今日はむしゃくしゃした。
ハツカレがヤリ目だったなんて、友達に愚痴れるはずもなく。
家族にも、もちろん言えるはずもなく。
私は、すぐさま家に帰り、パソコンを起動させた。
久しぶりに、チャットルームに行こう。
あそこだったら友達に話せないこととかも、気軽に話せる。
顔が見えないからこそ、話せることってあるもんね。
「……あ、ハッチ」
チャットルームにハッチがいた。
私も大ファンであるSiderRsというヴィジュアルロックバンドの話でよく盛り上がっていた仲良しのチャット仲間だった。
声優さんになりたいってよくいつも言ってたっけ。
弘也くんと付き合う前は毎日のように話してたけど、久しぶりだからか、ちょっとチャットルームに入るのが怖かった。
だけど…むしゃくしゃしてて、誰かに愚痴りたい気分かも…。
「――ちょっと気まずいけど…ハッチ1人だけみたいだし、入っちゃえ」
勇気を出して、クリックする。
すると、すぐにハッチのメッセージが表示された。