画面の向こうに甘いKiss☆
Chat4.空き教室
「この問題が分からないんだけど」
私の専攻――麻生教授の専攻でもある――経済心理学は、
統計学が必須の研究内容なのだ。
私自身、得意ではないけれど、どうしても心理学には付いて回る学問なので、それなりには勉強している。
だからこそ、JUNは私を頼ってくれているのかもしれない。
だけど、あんなに強引だったのはなんで…?
いつもは私と顔も合わせようとしないくせに。
若干の疑問を抱きつつも、目の前の問題を頭をフル回転にして考える。
「えっと…どれどれ。うん、この問題はデータ数が多いよね。だから使える定理があるんだけど…何か分かる?」
「――…中心極限定理…か?」
「そう!それでTを出せるよ」
なんだ。JUN、結構分かってるじゃん。
これなら早く終わりそうだな。
私は空き教室の時計見て、時間を確認した。
…うん、まだ教授のお手伝いに間に合いそう。