画面の向こうに甘いKiss☆


ドリー『…ごめん。やっぱ、今日は気分乗らない。落ちるね』

“退室”のボタンを押そうとカーソルを合わせた時、

ハッチ『待って!』

とメッセージが表示された。

ドリー『…どうしたの?』


ハッチが呼び止めるなんて、珍しい。


ハッチ『あのさ……えっとな』

ドリー『うんうん』

ハッチ『SiderRsってライブやるの知ってる?』

ドリー『あー!知ってるよ』

ハッチ『チケット取った?』

ドリー『…ううん。そんな気分じゃなかったし』


ずっと弘也くんのことで悩んでたんだもん…。


ハッチ『狭いハコだし、すごく倍率高かったんだけど、2枚チケットあるんだな♪これが!』

ドリー『…へぇ』

ハッチ『おい、ドリー!可愛くねぇぞ(笑)』

ドリー『(*´∀`*)』

ハッチ『……はいはい(笑)でさ、一緒に行かない?』

ドリー『えっ…いいの?友達の分とかじゃないの?』

ハッチ『友達と行こうかなとは思ってたけど、俺ドリーを元気付けたいし』


元気づけたいって言ってくれたのはすごく嬉しかった。

でも私はハッチの顔も声も何も分からない。
ちょっと怖いし、迷う…。ハッチはすごく良い人って分かってるんだけど、万が一ってこともあるかもしれない。

だってやっぱりネットの向こうの人ってどういう人か分からないから。


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