画面の向こうに甘いKiss☆
「どうしたの?」
翌日のよく晴れた昼下がり。
いつものカフェテラスで心配そうに、美佳が私を覗き込む。
「ううん。何でもないよ」
そう言って、いつものミルクティーを飲む。
大好きな甘さが今日に限って、舌に残る。
「そお?」
「うん……」
ぼぉっと目の前のミルクティーのグラスを見た。
あ、薔薇の模様なんて彫られてたんだぁ…。
知らなかったなあ。いつも、美佳と話してばかりでグラスに注目なんてしてなかったから。
「……綺麗」
「はい?」
思わず呟いた私の言葉に、美佳は大きな瞳を更に大きくさせた。
「ここのカフェさ、大学構内にあるくせにグラス凝ってるんだね。気付かなかったよ」
私が空になったグラスを美佳に手渡すと、美佳も興味深そうにグラスを見てくれた。