あの夏を生きた君へ
でも、彼は見えなくなっているだけで、すぐ近くにいるんだろう。
だから“消えてしまう”より“見えなくなってしまった”が正しいのだ。
言いたいことだけ言って見えなくなるなんて…ズルい。
手伝わなくていい、とか。
彼のためじゃない。
ばあちゃんのためにやってるんだ。
あたしは腹立たしくて堪らなかった。
ついでに、酷くショックだった。
急に突き放されたような気になったからだ。
あームカつく。
心配してるとかしないとか、そんなの余計なお世話だ。
チッ。
あたしは舌打ちをした。
今は見えない彼が、聞いているかもしれない。
どうして、いつもこうなんだろう。
あたしは、いつも腹が立っている。