あの夏を生きた君へ







コンビニの駐車場を横切っていくあたしの背中に向かって悠が叫ぶ。


「今さら“桐谷”なんて呼べっかよ!お前もいい加減分かれよ!鈍感女!!」



鈍感女…?悠のクセに!誰に向かって言ってんだ!!


こっちだって今さら“成海”なんて呼んでも全然馴染まねぇんだよ!アホ悠!!

けど、そうしねぇと…そうしないと……だって、美季たちが…。





シャベルを持つ手に力を込める。



あたしはいつまで、
こんなふうにビクビクしながら生きてくんだろう――…。










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