あの夏を生きた君へ
日が沈み、辺りが暗くなると彼は突然やって来る。
あたしは、その時のろのろと遊歩道を歩いていた。
「どうした?酷い顔だ。」
酷い顔は元々だ。つか、余計なお世話だ。
「何かあったのか?」
「別に…。」
幽霊に悩みを相談する趣味はない。
でも、見えないだけで昼間もその辺にいるのかと思ってたのに、美季たちとのことを知らないのか?
「アンタさぁ、見えない時はどこにいるの?」
「明子のところ。」
「…………。」
聞かなきゃよかったと思った。
何か…すごく惨めだ。
彼の、たった一言で、どうしてあたしがこんなに傷つかなくちゃいけないの。
意味分かんない。
大体、彼がいつもあたしの傍にいるとか思い込んでたなんてキモすぎる。
勝手にショック受けたり……有り得ないし。