あの夏を生きた君へ





「それさ!」


「ちょっと!待って!!」


「それ!握り飯だよな!?」


「………は!?」


「握り飯だろ!?」


彼は、あたしが手に持っていたおにぎりに熱い視線を送る。

頭がついていかなくて、とりあえず頷くと彼は本日一番の笑顔を見せた。


「うわぁ!!握り飯だぁ!!」





……何なの?


何で、おにぎりに興奮してんの?



ていうか、あたし一人でドキドキして……バカじゃん。


最悪すぎる…。







「…あげようか?」


ボソッと呟くと、彼は残念そうに頭を抱える。


「食いたいけど食えないんだ。駄目なんだよ、食い物も。」


出たよ。『この世の物はダメなんです』ルール。






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