あの夏を生きた君へ
明日、幸生くんたち家族はこの町を出ていきます。
今夜は、この町で過ごす最後の夜でした。
私は、布団の中で目を閉じていました。
いつか、また会えた時。
口には出来ないけれど、いつか戦争が終わったら。
二人で宝物を探すのです。
それを想像すると、今から楽しみです。
そして、その頃にはきっと、私の心にある温かい気持ちの正体も分かることでしょう。
幸生くんを見ていると楽しいのに苦しくて、嬉しいのに切なくなる、
この不思議な気持ちの正体を知りたかったのです。