あの夏を生きた君へ






「ぎゃあぁぁーー!!!」


外から聞こえるこの世のものとは思えない叫び声。

そのすぐ後、近くで大きな爆撃音が鳴り響きました。


地面が揺れ、壕の中でも悲鳴が上がります。


「防空壕も危険だ!蒸し焼きになるぞ!!」

男の人の大きな声が外から聞こえました。




周囲の人たちが戸惑っている中、誰よりも早く幸生くんが立ち上がります。



「行こう!」


でも、一体どこへ行けばいいのでしょう。


そんな疑問が浮かんでも考えている余裕なんてありません。


幸生くんは、幸生くんのお母さんと小夜子ちゃん、
私は私の母と手を繋いで外へ飛び出しました。



壕の中の人たちは、「ここにいなさい」、「危ないよ」と口々に言います。


何が正しいのか、どれが正解なのか、分からないまま防空壕を出て、私は自分の目を疑いました。





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