あの夏を生きた君へ
それから、私たちは幸生くんと小夜子ちゃんを探し続けました。
更に、私と母は家があった場所にも足を運びました。
でも、家はありませんでした。
私たち家族の家は、父が残してくれた薬局ごと跡形もなく焼けていたのです。
お隣の幸生くんの家も、ありませんでした。
焦げ臭い匂いが残る焼け跡の中に、溶けたガラスが転がっています。
私は泣きました。
母も泣きました。
心も、身体も、疲れ切ってしまいました。