あの夏を生きた君へ





ゆらゆらと揺れる炎がぼやけていきます。



幸生くんが燃えています。

「必ず行く」と言ったのに。

約束をしたのに。



幸生くんが、燃えているのです。



その時になって、ようやく私は自分の気持ちを知りました。


幸生くんが好きでした。

大好きでした。




もう立っていることも出来ず、私は崩れてしまいました。

地面に膝をついて俯くと、涙が一雫落ちていきました。




幸生くんは死にました。



「また会える」と言った幸生くん、
「生きよう」と言った幸生くんが死んでしまいました。


どうして、幸生くんが死ななければならなかったのか。

幸生くんが戦争をしていたわけじゃないのに。




涙が溢れて止まりません。




私は砂を掴み、それから地面を叩きました。



戦争が全てを奪ったのです。


私たちが大切にしていたものを。
大切に思っていた人たちを。

戦争が、何もかも奪ったのです。




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