あの夏を生きた君へ
そして、あの日。
青い夏空の広がる暑い日でした。
1945(昭和20)年8月15日、正午。
私は居候させてもらっている父の兄の家で、ラジオから流れた玉音放送を聞きました。
玉音放送は天皇陛下の声によるラジオ放送で、ポツダム宣言を受け入れ、無条件降伏を決定したという内容です。
しかし、途切れ途切れのお言葉は聞き取りにくく、私には何を言っているのかよく分かりませんでした。
『…堪へ難きを堪へ…忍び難きを忍び――…。』
その内、親戚の騒めきや啜り泣く声が聞こえてきました。
私の隣にいた母は深い溜め息を吐きます。
私が首を傾げると母は言いました。
「戦争が終わったのよ。」
「え?」
「…負けたの。」
私は唖然としました。