あの夏を生きた君へ










夜空に花が咲く。



山から見る花火は見上げる必要なんてなくて、光の束が散っていく光景を、あたしは間近に感じた。










「“死ね”なんて簡単に言うな。
“死にたい”なんて簡単に言うなよ。」


そう言って、彼は悔しそうに泣いた。


泣きながら、怒っていた。




あたしも、泣いていた。




生きていることを、
初めて愛しいと思った。










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