あの夏を生きた君へ
「死ね」とか「死にたい」とか、あたしはいつも軽々しく口にしてた。
その言葉の重さも知らずに、まるで口癖みたいになってた。
怒られて当然だと思った。
ばあちゃんにも合わせる顔がない。
あたし、サイテーだ…。
「……ゴメン。」
ばあちゃんのことだって全然分かってなかった。
知ろうともしなかった。
戦争とか、あたしには関係ないって思ってた。
教科書に出てきても、ちゃんと聞いてたことなんかない。
どうでもいいって思ってた。
「…ゴメン…。」
今、当たり前にあるものは、当たり前だって思ってた。
感謝なんかしたことなかった。
「あたし…。」
「もういいよ。」
彼は涙を拭いながら笑う。
「分かったから、ちづの気持ちは。もう謝るな。」
それから照れくさそうに、
「泣くなんて男らしくねぇよなぁ。」
と、顔を背けてしまった。