あの夏を生きた君へ
彼は、どんな気持ちで見ていたんだろう。
大人になっていくばあちゃんを。
じいちゃんと結婚したばあちゃんを。
お母さんになったばあちゃんを。
歳を重ねて、ばあちゃんになっていったばあちゃんを。
どんな気持ちで…。
それを思ったら、胸が張り裂けそうになった。
あたしには、きっと多分理解できないくらい切なかったはずだ。
いっぱい後悔したはずだ。
羨ましいと思うことだってあったかもしれない。
でも、それでも、彼はずっとばあちゃんの傍にいて、ばあちゃんを見ていた。
ただ、ばあちゃんに寄り添っているために。
苦しかった。
苦しくて、苦しくて、何であたしがこんなに苦しいのか分からなかったけど苦しくて。
あたしの悩みなんて、彼やばあちゃんの思いに比べたら大したことじゃないって思った。
自分がどれだけ恵まれてんのかって改めて気づかされる。