あの夏を生きた君へ
“幸せに生きる”…。
“幸せに生きる”と書いて、『幸生』。
その名前に込められた思い、願い。
切なすぎる。
じんわりと心に染みて、また涙が零れた。
彼はそれを見て、
「ちづは泣き虫だ。」
と、言って笑う。
その笑顔はキラキラしてて、目が離せなくなる。
あたしは、彼が好きなのだと、実感した。
「…良い名前だね。」
初めて恋に落ちた人とは結ばれない運命なのかもしれない。
あたしは、まるで他人事みたいに、そんなことを思った。