あの夏を生きた君へ
団地近くの公園まで来ると、その公園の中をウロウロとしている悠を見つけた。
こんな朝っぱらから何やってんだ、
と呑気に思ってたら、目が合うなり怖い顔でこちらに突進してくる。
「ちづっ!」
「何!?」
あたしの肩を掴んで、悠は大きな声を上げた。
「どこ行ってたんだ!?このバカ!」
「バカって!何なの!?一体!」
いつものように言い返してやるけど、悠の目があまりにも真剣だったからあたしは口をつぐむ。
すると、悠も少し冷静になったのか、力が抜けたような溜め息を吐いた。
何だか疲れてるように見える。
「…何かあったの?」
悠は頭を掻きながら、
「お前だ、お前。」
と、零す。
「は?」
「探してたんだよ、ずっと。ちづがいなくなったって聞いたから。」
ぽつりぽつりと悠は話し始めた。
「ちづのお父さんが帰ったら、ちづがいないって。夜中になっても帰らないから、俺んとこにも訪ねてきてさ。」
嘘…いつもみたいにお酒飲んで帰ってくるもんだとばかり思ってた…。