あの夏を生きた君へ
「皆で探してたんだよ。ちづのお母さんも、さっき仕事から帰ってきて探してる。」
「大騒ぎになってたり…?」
「…まぁな。」
あー…ヤバい…。
うなだれるあたしに悠は言った。
「どこ行ってたんだよ?」
「あー…色々あって…別に家出とかじゃないから!」
慌てて言うと、悠はあたしをまじまじと見つめて、
「じゃあ遭難?」
なんて言いやがる。
上から下まで泥だらけの状態だからそう思ったのか、冗談のつもりなのかは分からない。
悠は真面目な顔して言うから判断出来ないのだ。
「じゃなくて宝探し。」
「へっ?」
「…いや、何でもない。」
あたしは首を横に振って、それから思い出したように言った。
「…あ、つーかさ…心配かけてゴメン。探してくれて…ありがとう。」
「…………。」
悠は驚いた様子で、あたしを見つめたまま固まってしまった。