あの夏を生きた君へ
「黙れよ!クソババァ!」
「本当この子は口ばっかり達者になって!外でもそうならいいのに内弁慶なんだから!」
終わらない言い合いにうんざりしてくる。
本当ヤダ。
ガンッと壁を蹴ると、
「物に当たるんじゃない!」
と、お母さんの怒鳴り声が飛んでくる。
「壁薄いんだから、お隣に怒られるでしょ!」と、ぶつぶつ言った。
そんなこと、あたしには関係ない。
あたしが怒られるわけじゃないし。知らねぇよ、クソババァ。
「アンタ、暇ならばあちゃんのとこ行ってきて。」
「はっ?」
「ばあちゃんが好きなからあげ買ったのよ。届けてきて。」
「はぁ!?ヤダ!外暑いじゃん!」
そう言うと、お母さんは掃除機を再開しながらため息を吐く。
「まったくアンタは文句ばっかり!
今日はばあちゃんとこでそのまま夕飯食ってきなって言ってんの!お母さん、今日パートで遅くなるし、お父さんも遅くなるって言ってたから。」
何が遅くなるだ。
お父さんなんか、どうせベロベロに酔っ払って帰ってくるに決まってる。