あの夏を生きた君へ
「あのね…色々事情があって……でも、どうしても夜じゃないといけないの!
お母さん!あたし今はまだ全部をちゃんと話せる自信がない。でも!いつか必ず話すから!」
あたしは、お母さんに頭を下げた。
「お願いします!」
お母さんも悠も口を開かない。
誰も見てないテレビは朝のニュースを伝えている。
抑揚のないアナウンサーの声がやけに部屋に響いた。
そして、お母さんの口から溜め息が漏れる。
「ちづ、お母さんが心配してるの分かる?」
あたしは頷く。
「何も疾しいことはないのね?
ばあちゃんにも、私にも胸を張れるのね?」
もう一度、頷く。