あの夏を生きた君へ
「でも、神社に埋めたかもしれないってことしか分からなくて…。」
「何か他に心当たりとかないの?」
そう言われて、あたしはばあちゃんから聞いた話や幸生の話をもう一度思い出してみる。
「…確か…誰にも見つからない場所…。」
あたしが呟くとお母さんは、
「それなら神社ってことだけは間違いないかもね。」
と言う。
「どうして?」
「だって、あの神社には誰も近寄らないでしょ?
お姫様の呪いがあるとか、神社の奥だって神隠しの森があるとかって古い言い伝えがあるじゃない。
誰も近づかないってことは、誰にも見つからない。」
お母さんは得意気に言った。