あの夏を生きた君へ
「僕も…もう…。」
「嘘でしょ!?ねぇヤダ!待ってよっ!!」
あたし、まだタイムカプセル見つけてないじゃん!
まだ、まだ何も出来てないよ!!
待ってよ、待って、まだ行かないでっ!!
「ちづ…ありがとう――…。」
そう呟いて幸生が微笑む。
涙が零れた。
雫は、幸生の身体を通り抜けて地面に落下していく。
「やめ…あ、ありがとうなんて言わないでよ!そんな最後みたいな…ヤダッ!!」
触れたくて、触れたくて、それでも触れられないあたしの手は空中を切る。
幸生が消えていく。
見えなくなってしまう。
抱きしめることも出来ないまま。