あの夏を生きた君へ






「雪が降ってる。」


「え?」


「“雪が降ってる”ってどういう意味だろう。」




幸生が消えてしまう寸前に、最後に残した言葉。


「雪が降ってる」、とあの時幸生は確かに言った。




「タイムカプセルを埋めた場所に関係があるのかもしれない。」



それを聞いて、悠は考えながら口を開く。


「でも、雪って言ったって今は夏だろ。」






雪が降ってる…。




確かに今は夏だ。


この季節に雪が降るなんて、普通は考えられない。




じゃあ、幸生は一体何を見てそんなことを…?








――――何を見て――…。








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