あの夏を生きた君へ
「…じゃあ諦めろって言うの!?ここまで来たのに!最後まで分からないって、逃げるなって言ったの悠じゃんっ!!」
分かってる。
無謀なこと言ってるのは。
この場所に、一体どれだけの木があるだろう。
まして、一本一本の区別なんかつかない。
闇雲に穴を掘ってタイムカプセルを探すのと同じくらい途方もないことだ。
でも……。
「あたし…もう諦めたくないよ。逃げたくない!」
学校から逃げて、
美季たちから逃げて、
お父さんやお母さん、悠にも背を向けて。
愛美を憎んで、
“死”に憧れて“現実”から逃げ続けた。
でも、逃げても逃げても、どこへも行けなかったよ。
いつも隣にいてくれた悠。
お父さんとお母さんの思い。
愛美の本当の気持ち。
あたしが変われば世界が変わった。
色々なものに、気づけた。
向き合う勇気、信じる勇気、
大切に育てていきたい!