あの夏を生きた君へ
山道から遊歩道に出て、あたしは道路に出た。
車はほとんど通らない。
空が明るくなってきて、夜が明けようとしている。
急がないと。
日が昇ったら、幸生は本当に消えてしまう。
泣きっぱなしのあたしの目から涙が後ろに飛んでいく。
もっと、速く。
もっと速く。
もっと速く。
まだ…まだ朝にならないで!
神様、幸生とばあちゃんを連れていかないで!!
二人の約束を今度こそっ!
紫色の空に、あたしは願い続けた。