あの夏を生きた君へ
ばあちゃん…ばあちゃん…。
きゅっと握ったばあちゃんの手を見つめる。
皺々の手。ばあちゃんの手。
「ばあちゃ…あたし、いっぱい…いっぱい色んなこと教えてもらったよ。」
一緒に駄菓子屋に行く時に繋いだ手。
10円玉を飲み込んだあたしを病院までおぶってくれた手。
だし巻き卵やポテトサラダを作ってくれた手。
あたしを抱きしめてくれた手。
愛してくれた手。
「ばあちゃん…あたし…あたし…生まれてきてよかった。よかったよぉ…。
だから、だから…ばあちゃん…ばあちゃ、生まれてきてくれてありがとう。」
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
ありがとう。
何十回でも、
何百回でも、何千回でも。
ばあちゃん、ありがとう――…。