あの夏を生きた君へ
8月の青空が広がる。
蒸し暑い日だった、蝉が鳴いている。
黒い服に身を包んだあたしは、棺の中にそっとばあちゃんの宝物たちを忍ばせた。
ばあちゃんは、とても優しい顔をしていた。
始めは、目を覚ましていつもみたいに「ふふふっ」って笑ってくれるんじゃないか、なんて思った。
でも、時間が経つにつれて、ばあちゃんの身体は固く冷たくなっていった。
動くことも、話すことも、笑うこともない。
ばあちゃんの身体は抜け殻になってしまった。
そして、その身体も今、燃え尽きようとしている。
あたしは、青く澄んだ空に白い煙が上っていく様子を見上げていた。
白煙は空の青さに溶けだすみたいに消えていった。
一つ一つ、ばあちゃんが失われていく。