あの夏を生きた君へ
それから、あたしはばあちゃんと対面した。
ばあちゃんの抜け殻は、骨になってあたしたちの目の前に現れた。
かつてばあちゃんだったものを、あたしはばあちゃんとは思えなかった。
小さな小さな白い骨を、お母さんと拾う。
箸を通して伝わってくる感触はあまりにも無機的だった。
その時、あたしはばあちゃんが死んでから初めて泣いた。
死ぬということ、死んでしまうということの意味が分かった。
もっと、ばあちゃんに会いに行けばよかった。
もっと、たくさん話をすればよかった。
会いたいと思っても、もう会えない。
話したいと思っても、もう出来ない。
ばあちゃんがいた日々、ばあちゃんと過ごした時間たちが脳裏を駆け巡る。
どれもこれも愛しかった。
愛しくてたまらない。
泣きじゃくるあたしを、お母さんが支えてくれた。
お母さんも、泣いていた。