あの夏を生きた君へ







それから、あたしはばあちゃんと対面した。


ばあちゃんの抜け殻は、骨になってあたしたちの目の前に現れた。



かつてばあちゃんだったものを、あたしはばあちゃんとは思えなかった。




小さな小さな白い骨を、お母さんと拾う。

箸を通して伝わってくる感触はあまりにも無機的だった。


その時、あたしはばあちゃんが死んでから初めて泣いた。




死ぬということ、死んでしまうということの意味が分かった。




もっと、ばあちゃんに会いに行けばよかった。

もっと、たくさん話をすればよかった。


会いたいと思っても、もう会えない。

話したいと思っても、もう出来ない。





ばあちゃんがいた日々、ばあちゃんと過ごした時間たちが脳裏を駆け巡る。



どれもこれも愛しかった。
愛しくてたまらない。





泣きじゃくるあたしを、お母さんが支えてくれた。


お母さんも、泣いていた。








< 264 / 287 >

この作品をシェア

pagetop