あの夏を生きた君へ
そして、この作品を書こうと思ったきっかけとなったのが、2011年3月11日に発生した東日本大震災でした。
私は関東在住です。
地震発生当時は自宅にいました。
私の住んでいる所でも身の危険を感じるほどの揺れ、余震が何度も続きました。
幸い我が家では物が散乱する、屋根瓦がずれる程度の被害ですみましたが、
ニュースで見る悲惨な光景に言葉も出ませんでした。
それからの数ヶ月は、
家を失ったわけでも、大切な人を亡くしたわけでもないのに、不安で明日が見えない毎日でした。
それまでの私は、主人公・千鶴のように「死ね」とか「死にたい」とか軽々しく口にしていました。
でも、あの日以来そんな自分が許せませんでした。
生きていること、
まわりの大切な人たちが生きていることがどんなに幸せなことか、気づかされました。
命の尊さ、大切さを書きたいと強く思ったのです。