あの夏を生きた君へ
あたしは騒がしさに苛立ちを覚えながら、机に突っ伏した。
窓から見える空は、どんよりと重そうな曇り空。
まるで、あたしの心みたいだ。
授業と授業の合間の休み時間、あたしにはいつも居場所がない。
一人でポツンと席に座ったまま、時が過ぎるまでじっと耐える。
ほんの数分のことが、永遠のように長く感じられる。
耳を塞ぎ、目を塞ぐことが出来たらどんなにいいだろう。
そうすれば、アイツらの声にいちいち嫌悪感を抱かずに済むし、教室で孤立した自分の惨めさを痛感しないでいられるかも。
時間を潰すために、少しでも可哀相には見えないように、あたしは用もないのにペンケースの中を漁ったり、興味のない数学の教科書をパラパラと捲った。
そうしてまた、机に突っ伏す。
何で、あたしはこんな所にいないといけないの?
何で、あんなヤツらと一緒に、こんな所に…。
バカの一つ覚えみたいに教室の中心で下ネタを叫びまくる男子、
文句を言いながらも楽しそうに盛り上がる女子。
どいつもこいつも気持ち悪い。
人前でするような話じゃねぇだろ。
あたしには頭がイカれた連中としか思えない。