あの夏を生きた君へ





そして、美季、ナオミ、彩織。





そもそもの始まりは中学校に入学してまだ間もない、5月の宿泊学習の班決めだった。


まだクラスに馴染めず、愛美とはクラスが違うし、
このままだと惨めな学校生活を送ることになってしまうかもしれない。



あの時のあたしは焦っていた。

徐々に完成しつつある女子のグループ、
あたしは完全に出遅れていたからだ。




そんな時、声をかけてくれたのが美季だった。

「桐谷さん、ウチらと同じ班にならない?」





下手をしたら“余り者”になっていたであろう、宿泊学習の班。


あたしは、本気で美季に感謝した。



同時に、失敗するわけにはいかないと思った。

これを逃したら、あたしはクラスで浮きまくった“余り者”決定だ。






必死だった。





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